長野県塩尻市といえば、「桔梗ヶ原ワインバレー」で知られる日本屈指のワイン産地。
メルローを中心に上質なワインを生み出すこの地域は、すでに多くのワインファンに愛されています。
しかし近年、塩尻のワインシーンには新しい風が吹き始めています。
それが――片丘地区と柿沢地区です。
この記事では、塩尻市で静かに注目を集めるこれらの新興ワインエリアの魅力を、実際のワイナリーとともに紹介します。
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片丘(かたおか)地区 ― 丘の上に広がる、新しいワイン畑
桔梗ヶ原の北東、高ボッチ山の南斜面に位置する片丘地区。
標高はおよそ650〜800m。昼夜の寒暖差が大きく、日当たりの良い丘陵地形が広がる、まさにブドウ栽培の理想郷です。
かつては桑畑や牧草地として使われていた土地が、近年はワイン用ブドウ畑として再生され、地域全体が「片丘ワインプロジェクト」として動き出しています。
■ ドメーヌ・コーセイ
片丘を代表する存在のひとつが、「ドメーヌ・コーセイ」。
メルローを中心とした本格的なワイン造りを行い、“片丘テロワール”を世界に発信しています。
ブドウの樹1本1本を丁寧に育てる姿勢や、醸造へのこだわりが高く評価され、今や塩尻市を語る上で欠かせないワイナリーです。


・立地:長野県塩尻市片丘地区。
・特徴:ワイン用ぶどう品種「メルロ」に特化しており、“片丘のテロワール”を表現しようという志が明確です。
・見どころ:新しいワイナリーながら、栽培・醸造ともにこだわりが強く、地域ブランド化の文脈でも注目です。
■ 丘の上 幸西ワイナリー

もうひとつの注目が、「丘の上 幸西ワイナリー」。
ご夫婦で営む小さなワイナリーですが、目の前に北アルプスを望む絶景のロケーションが魅力。
赤はメルローやカベルネ・ソーヴィニヨン、白はシャルドネなどを育て、片丘の個性を生かした味わいを追求しています。


立地:塩尻市片丘9965-6 地点。
特徴:ご夫婦で営む小規模ワイナリーで、「片丘らしいワイン」を探求中。景観を重視した場所選びも印象的です。
栽培品種:赤:メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン/白:シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン。
丘陵の風に吹かれながら畑を歩くと、「この土地のワインには理由がある」と感じられる――そんな場所です。
柿沢地区 ― 高標高が生む、キレのある味わい
もうひとつ注目したいのが、塩尻市南東部の柿沢地区。
標高は840〜860mと、塩尻市内でも特に高い場所にあります。
この気候条件が、果実味が凝縮しながらも酸がしっかりと残るブドウを育て、独特のワインスタイルを生み出しています。
■ サンサンワイナリー

柿沢地区を代表するのが「サンサンワイナリー」。
もともとは耕作放棄地だった土地を再生し、現在ではメルロー・シラー・シャルドネなどを栽培。
醸造施設、レストラン、ショップを併設しており、ワイン体験と観光を同時に楽しめるスポットとして人気を集めています。


・立地:長野県塩尻市大字柿沢日向畠709-3。
・特徴:高標高という立地を活かしつつ、遊休農地を再活用してワイナリーを立ち上げたという地域振興型の事例です。
・見どころ:畑+ワイン醸造+ショップ&レストラン(併設)という観光動線が整っております。
・栽培品種:メルロ・シラー・シャルドネなど
柿沢のブドウ畑は、まるで空に近い庭園。
ここで生まれるワインは、清涼感と深みをあわせ持つ特別な一本です。
桔梗ヶ原に続く、“第二のワインバレー”の息吹

片丘と柿沢――どちらもまだ発展途上のエリアではありますが、共通しているのは「新しい挑戦の場」であること。
遊休農地を再生し、地域ぐるみでワイン文化を育てる動きが進んでいます。
すでに桔梗ヶ原が確立された「老舗の風格」を持つのに対し、片丘や柿沢は“これからを作るワイン産地”。
静かな丘の上で、新しいテロワールが芽吹いています。
塩尻でワイナリー巡りを楽しむなら
塩尻市の中心部から片丘や柿沢へは車で約15〜20分。
アクセスもよく、観光ついでに立ち寄れる距離感です。
- 片丘方面:高ボッチ高原ドライブと組み合わせて。
- 柿沢方面:サンサンワイナリー併設レストラン「サンサンガーデン」でランチを。
桔梗ヶ原ワインバレーを訪れたことがある方も、次はぜひ「片丘」「柿沢」という新しい塩尻ワインの地を歩いてみてください。
これからの塩尻ワインの未来を感じられるはずです。

