長野県内のガソリン販売事業者が、店頭価格を不正に調整するカルテルを結んでいた疑いがあるとして、公正取引委員会が18日、県石油商業組合に立ち入り検査を実施しました。この一連の騒動について、最新の情報を元に分かりやすくまとめました。
この記事を読むことで、今何が起きているかが分かりやすくなります!
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問題の背景:「日本一高い」長野県のガソリン

- 長野県のガソリン価格は全国最高水準
- 2023年4月以降、48週中46週で全国1位
- 2024年1月14日まで22週連続トップ(182〜190円/Lで推移)
- 立地要因による輸送コストの高さが理由とされてきたが、
- 他県の山間地域よりも極端に高い価格が続くことに疑問の声
事件の時系列詳細
まずは一連の出来事を時系列順に整理してみましょう。
1月16日:県知事と組合の意見交換
- 阿部知事が価格高騰の問題を指摘し、価格低下に向けた協議会立ち上げを提案
- 組合側は「特段不正なことはしていない」と否定

2月5日:カルテル疑惑が報道で浮上

- 地元紙のスクープで、組合支部の連絡網を使った価格調整疑惑が明るみに
- 「〇円値上げ」「〇円値下げ」などの情報共有が常態化
- 店頭価格が不自然に一致するケースが多発
2月18日:公正取引委員会の立ち入り検査

- 独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、長野市内を中心に調査実施
- しかし、検査の影響で組合内部調査が停止し、真相解明が難航
2月20日:組合側の報告延期

- 県は20日に調査結果の報告を受ける予定だったが、直前で延期
- 組合は「公取委から説明を控えるよう指示された」と県に説明
- しかし、公取委はこれを完全否定
- 組合幹部は「指示されたとは一言も言っていない」と発言を翻す
2月21日:県と組合の食い違いが浮き彫りに

- 組合側は「報告資料は完成済みで公開説明も可能」と主張
- 県側は事前にメール確認・文言読み上げまでして認識を共有していたと反論
2月25日:ガソリン価格の下落
そんな中、全国1位だった長野県の価格が、カルテル報道後に3位まで下落
「情報交換がなくなったから価格が下がった」と支部関係者が証言している状況。
2月28日:組合が県知事に中間報告 ←New‼

調査結果の報告
- 2月13日、県内8支部の支部長への聞き取り調査を実施。
- 全員が「不正な価格調整はなかった」と回答。
- 公正取引委員会の立ち入り検査が入り、追加調査は中断。
- 今回はあくまで中間報告と説明。
知事の反応
- 阿部知事は「これだけの調査で県民が納得すると思うのか」と強く批判。
- 第三者の視点で組織ガバナンスを検証し、信頼回復に努めるよう要求。
今後の動き
- 組合は当初、第三者委員会設置を検討していたが、公取委の検査を理由に断念。
- 知事は引き続き、公開の場での説明と、独立した第三者調査を求める姿勢。
現場の証言から見える実態
組合幹部は一貫して「不正はなかった」と主張していますが、現場の証言内容と矛盾する点がいくつも見受けられます。
ここでは、現場事業者の声を具体的に整理します。
- 複数の加盟事業者が「電話連絡の存在」を証言
- 「何円上げる」「下げる」という情報共有が数年前から常態化
- 組合未加盟のJAスタンドにも価格に関する電話連絡
- 「安売りすると他事業者からクレーム」 → 価格引き上げの圧力
ある事業者は、「〇円上がる」「〇円下がる」などの連絡が数年前から定期的にあり、価格調整のためとも受け取れる内容だったと語っています。
さらに別の事業者は、「周辺店舗より安くすると、組合加盟の他事業者から『安すぎる』と指摘され、価格引き上げを求められた」と具体的な圧力を明かしました。
また、組合未加盟のJA系列スタンドに対しても、組合側から価格に関する連絡があったとされます。JA側は「参考にしただけ」と説明していますが、こうした状況は、実質的な価格調整ネットワークが広く存在していた可能性を示唆しています。
実関係から推測できる真実
これまでの報道の事実関係から推測できる真実を考えてみます。
※あくまで「事実からの推測」であることをご了承ください。
🔴 暗黙の「緩やかなカルテル」が存在していた可能性が高い
価格調整の明確な合意書や会議記録はないものの、電話連絡による情報交換で実質的な足並み揃え、「暗黙の了解」として価格調整が機能していた可能性
🔴 組合幹部の調査姿勢への疑問
- 支部長から「事実はない」との回答だけで調査終了
- 実際には、加盟事業者の複数証言と明らかな矛盾
🔴 公取委の動きがなければ疑惑は表面化しなかった可能性
- 情報交換停止後、急速に価格が下落している事実は無視できない
- もし不正がなければ、カルテル疑惑浮上後も価格は変わらないはず
⚠️ 今後の重要ポイント
- 公取委の最終調査結果:立ち入り調査の結果次第で、刑事告発や制裁金の可能性
- 第三者委員会設置の実現性:公取委の検査終了後、独立機関での再調査は不可欠
- 県民の信頼回復:価格調整が事実なら、透明性あるガバナンス体制の構築が急務
まとめ:長野県のガソリン価格は正常化するのか?
- 長年高止まりしてきた長野県のガソリン価格は、今回の一連の騒動で大きく揺らいでいる
- 「情報交換」が止まると即座に価格が下がる現象からも、カルテル的な慣行が存在していた可能性は極めて高い
- 真相解明と組織改革なしには、県民の信頼は取り戻せない
今後の動き次第で、長野県のガソリン価格が真に市場原理に基づいて決まる日が来るかもしれません。
引き続き、公取委の動きや組合の対応を注視していきましょう!